外伝/02-現 |
願わくば、もう一度出会えますように、と。 「あら、アンタもここに来てたのね?奇遇だわ」 機械音と電子音だけが無機質に響く白い部屋の中、少女が放った声は誰に受け取られることもなく溶けて消えていく。 けれど構いはしなかった。勝手にずかずかと彼が横たわっているベッドに近づくと、空いたスペースに腰掛けてそちらを見遣る。 収まりの悪い茶色い髪と、端整と呼ぶに相応しい綺麗な顔立ち。意思の見えない虚ろな瞳も、もうとうに見慣れてしまった。 「せっかくだから少し話しましょ。アンタに聞いてほしい愚痴がいっぱいあるのよ」 おどけたように笑って、彼に攻撃させないように気をつけながら頭を撫でる。見た目に反し、その髪が柔らかいことを彼女は知っていた。 返事がないのを無理矢理に承諾と受け止めて、いつもと同じように話し始める。 「んー、何から話そうかしら…あ、今日は戦闘実験だったのよ。それで怪我したって言って、ここに来たの」 「アタシみたいなか弱い女の子を戦わせるなんて、相変わらず酷いわよねー。ま、楽勝だったけど!」 少しふざけてみても呆れた声は返ってこない。不器用に頭を撫でる手もない。安堵したようにこちらを見る、瞳も。 知っていた。しかし構わなかった。三年間ずっと変わらない、いつものこと。 今更傷付くほど脆い心は持ち合わせていないから、何でもないように少女は笑う。 「……アンタはどうだった?また実験?」 「あはは、本当に嫌んなっちゃうわよね」 それでもきっとまだ、どこかで期待をしながら。いつかの彼がしてくれたように、頭を撫でて。 何も返らない孤独な沈黙の中、少女の声が響く。 「はあ、疲れた……」 長く白い通路を、ひたひたと歩く足音が一つ。 実験を終えたレッドが、無人のそこを医療室に向かって進んでいた。左腕には噛まれたような傷痕と、そこから流れる血。先程までの戦闘実験での負傷だった。 普通の実験体の子供達と違い、レッドは「特別実験体」という枠に入る。 一般に知られている水や炎などの能力とは異なる、特殊な能力を扱える子供達。例えばレッドなら光を放つ力だ。だからコードは【光】。 現在、特別実験体はたったの5人。特殊能力を扱えるほどの適性が現れることは極めて稀で、替えが効かない存在なのである。その為、他の実験体よりは大事に扱われ、ある程度の自由を許されていた。 こうして部屋と通路、専用の医療室の間を行き来できるのも、特別実験体の特権だ。とは言っても、無駄にうろついていると怒鳴られるので、普段はあまり出ることはないが。 「………ん?」 医療室に着くと、中から話し声が聞こえてくるのに気がつく。 内容まではよく聞こえないが、その明るい声音は、陰鬱な雰囲気の研究所にはそぐわないもの。 しかし少し妙だった。少女らしきその声に応じる者がいない。話し掛けているような口調なのに、返答を期待していないように声が続いている。 首を傾げながら、レッドは怪我をしていない方の手で扉を開けた。 「………それでさ、アタシがちょっと泣き真似してみたらそいつもう慌てちゃって!」 中に入ると横からけらけら、と笑い声。そちらに目をやると、こちらに背を向けた少女がベッドに腰掛け、寝ているらしい誰かに話し掛けていた。栗色の長い髪を揺らして笑う彼女に、返る声はやはり無い。 声は明るいのにどこか淋しげに響いて、医療室の白に溶けていく。 「だからもう少しって思っ――……?」 「あ……」 ふと、言葉を止めて少女が振り返った。どうやらこちらの視線に気がついたらしい。 深海を思わせる青の瞳がこちらを捉え、はっきりと目が合う。笑顔が一瞬で冷めたものへと変わり、少し戸惑いを覚えた。 「………アンタ、誰?」 「そ、そっちこそ誰だよ?ここ、特別実験体じゃないと入れないのに……」 「アタシは特別実験体よ。何か文句ある?」 「え……」 言いながら、少女が腰掛けていたベッドから下りてレッドを見遣る。 刹那、ぐわりと視界が揺れた。唐突に訪れた地震に立っていられず足を付く。 ぶれる視界。医療器具が落ちて割れ、周囲の機械が「ERROR」の文字に埋め尽くされる。その中で、少女だけが平然と立っていた。 「っ君…何で……!」 「何で立ってられるのかって?答えは簡単よ、これがアタシの能力だから」 揺れが消えた。 何とか立ち上がりそうっと辺りを見回すと、割れた器具も壊れた機械もない。訳がわからず少女を見れば、ため息をつかれながらも答えを提示してくれた。 「アタシは『目醒め』。幻覚の能力を持つ特別実験体よ」 目醒め。強力な幻覚を操る特別実験体だと、以前話には聞いていた。なるほど確かに、彼女が特別実験体であるのは間違いないらしい。 納得して頷くと、少女は続ける。 「見ない顔だけど…アンタは?」 「俺は……レッド」 「……レッド?ああ、新しく来た…」 「……そういうそっちは、もしかして前から…?」 まるで長くここにいるかのような口振りにそう尋ねると、沈黙の後まあね、と素っ気ない返事。答えたくなかったのだろうか、内心心配するが、当の少女はどうでもいいとでも言いたげに手をひらつかせて再び口を開いた。 「で、何の用?怪我でもしたの?」 「あ……ああ、ちょっと」 「ふうん。手当てしないの?」 「するけど、……って、あれ…」 淡々とした反応に戸惑いながらも、治療道具を探そうと部屋の奥へ歩を進める。と、少女の傍に見覚えのある姿を見つけた。 色素の薄い茶色の髪。四肢をベルトで固定され、虚ろに天井を見上げる深緑。 数日前の戦闘実験で戦った、あの少年だ。 思いがけない再会に驚いてそちらに意識をとられると、レッドの様子に気づいたのか少女が首を傾げた。 「……?何よ?」 「そいつ……」 「ああ、これ?」 固定されたままのレッドの視線を追って、納得したように少年を指差す少女。頷いて、以前戦闘実験で戦ったことを告げると、今度は彼女が驚いたような顔を見せた。 「生きてられたの……!?」 「ああ……ていうかこいつ、具合悪かったみたいで途中で倒れちゃったんだ。すごい熱で……」 「……そう…アンタ、運が良かったわね。」 「運が良かった…?」 引っかかる台詞にレッドは眉をひそめる。具合が悪かったことが良いわけがないだろう。あんなに苦しそうだったというのに。 気持ちが顔に出ていたのだろうか。少女はレッドを見ると心中を察したらしく、小さく溜め息をついて続けた。 「こいつが普通の体調だったら……アンタ、死んでたわよ」 「……、…それって、今までこいつと戦った奴はみんな死んだって事か?」 「ええ。戦う相手だけじゃなくて、その場にいた研究員も何人か殺してるわ」 「っ………」 淡々と告げられた事実は残酷なものだった。 言葉に詰まり、レッドは少年に視線を移す。意思の見えない淀んだ瞳、その体をきつく固定する拘束具。 彼と初めて会った時。相手が人間だとわかっていても、少年は何の躊躇もなく突っ込んできた。拘束具を外していると、研究員達は怯えた顔で離れていった。レッド自身も殺されかけた、あの躊躇いのない力はまだ体が覚えている。 それは、少女の話が真実であることを示していた。 「…………っじゃあ…前から、人間相手に戦わされてたって事か…?」 「……アンタ、本当に最近来たのね。 アタシ達は物心ついた頃からやってるわよ」 「………っ…」 言葉を失って顔を歪める。自分と同じくらいの年の彼女達が、小さい頃から手を汚していたなんて。 言葉の通じないポケモンですら、断末魔が耳に残って離れないのに。それを幼い頃からずっと、それも人間を相手に。 改めてこの場所の残酷さを思い知らされる。 「そんな顔されてもね…慣れちゃったし。」 「…慣れ………っ、慣れるもんじゃないだろ、そんなっ…」 「何年もやってりゃ慣れるわよ。こいつだってそう」 淡々と答える少女の表情は動かず、感情の動きは見られない。何年も繰り返されている行為に心を壊されないように、麻痺させたのだろう。 ―――いつか、俺もそんな風に何も感じなくなるんだろうか。 悲しい想像だった。レッドは過ぎった考えをすぐに振り払い、気を取り直して少女を見た。 彼女の視線は少年に向けられている。頭を撫でるその仕草はひどく優しく、そしてどこか寂しげだった。 邪魔をしては悪いとは思いつつも、どうしても気になって声を掛ける。 「……、あのさ、こいつのこと知ってるの?」 「そうよ。……同じ、研究所の生まれだもの」 「……生まれたときからこんなとこに…!?」 「研究員の子供だからね、アタシ達。まだこの研究所がこんなに大きくなる前から、ずっと一緒にいるわ」 何もおかしいことないでしょ? 言いながら自嘲する彼女は苦しげだった。確かに気持ちの良い話ではないだろう、生みの親にこんなにも酷い仕打ちをされ続けているのだから。目に見えない沢山の傷が、その中に垣間見えた気がした。 彼女はずっとその痛みを抱えたまま、壊れた少年とともに生きてきたのだろうか。今と同じ、大切そうな、悲しそうな目を向けながら。返らない声を望みながら。 それを想像するには、レッドはまだ何も知らなかった。 「…、…昔から、こうなのか?」 「……何が?」 「こいつ。……ちがう、よな?」 「……何でそう思うのよ?」 「………なんとなく、だけど」 根拠などなかったが、妙な確信だけはあった。 不自然に濁った瞳。絶望しきったというより、何かが原因で壊れてしまったような。 “こわさないと”。繰り返し呟かれていた音のない声も、自分の体など気にせずに躊躇わず突っ込んできたことも、何もかも破壊しようとする腕も。全てがその、“何か”に繋がっているような予感がした。 僅かに言いづらそうに視線を逸らした少女をまっすぐ見据える。 「……教えてくれよ」 「………、アンタには刺激強すぎるかもよ?」 探るような目でレッドを見上げ、彼女は暗く笑った。意味するものは、肯定。 やはり何かがあったのだ。恐らくとても残酷な、悲しい事件が。 「俺、知りたいんだ、こいつのこと」 「……気持ち悪くなっても知らないわよ?」 「…大丈夫だから。」 ふ、と溜め息が落ちた。 物好きね、少しの沈黙の後に笑ってそう言った彼女は、立ち上がってレッドを見返す。意思の強そうな蒼の瞳はこちらを見てはいるけれど、レッドを越えてどこか遠くに向けられているようにも思えた。 「……じゃあ、そうね…まず、これ」 すっと細い指が持ち上がって、少女の首を指し示した。正確にはそこにはめられている、機械の首輪を。 少年にもつけられているそれは、恐らく実験体を管理するためのものなのだろう。中心部の黒い画面に赤い光が明滅していて、稼動中であることを主張している。 しかしそれ以上のことはわからない。連れてこられたばかりで例外が多く、比較的特別な扱いを受けているレッドは、そんな首輪をつけられたこともないためだ。 尋ねようと口を開くが、それより先に少女が続けた。 「………こいつの両親ね、これで首吹っ飛ばされたの。」 「――え…!!」 「ポケモンを殺すのを嫌がったから、人間を殺すのを嫌がったから、って。目の前でね」 白い手が広げられて、ばん、と爆発するさまを表して見せた。簡単な動作が逆に残酷さを際立たせる。 爆弾、だ。首輪に仕込まれているのなら、確かに爆発すればひとたまりもないだろう。思わず人間の首が吹き飛ばされる所を想像して、レッドは言葉を失った。 そんな話があるだろうか。殺したくないと拒絶するのは当然だろうに、なのに見せしめのように目の前で、なんて。それがどれほどのショックか、考えもしないで。 ―――とうさん、かあさん。 フラッシュバック。一瞬目の裏に飛び散った赤に、知らず体を震わせる。 そうだ、知っている。その痛みは、かつてレッドも嫌と言うほど味わったのだ。あの無力感も衝撃も、消えてしまいたいと願うような強い感情も。 思い出して顔を歪めると、それが研究所なのよ、と温度のない声が返ってくるだけだった。まるでそれが当たり前で、仕方ないことだとでも言うように。 そんな悲しい彼女達が、苦しくてたまらなかった。 「……っ、その…ショックで…?」 「……違うわ。」 「……じゃあ、なんで…」 「………、 お姉さんがいたの。」 微かに、少年の体が揺らいだ気がした。 無表情だった少女も少し悲しみを滲ませ、俯いてレッドから目を逸らす。それだけで、なんとなく理解してしまった。 「……両親を殺されて、自分を責めるようになって。唯一頼れたのがお姉さんだったの」 「……そのお姉さん、って」 「…ええ、殺されたの。アタシはその時の様子はよく知らないけど…死体は酷いもんだったらしいわ」 「………っ…」 なんと言っていいかわからず、少年を見る。変わらず虚ろな瞳は、しかし色濃い絶望を映して揺らいでいた。 肉親全てを目の前で殺した、研究員達が信じられなかった。どうしてそんなに残酷になれるのだろう。 それだけの命を犠牲にしてまで、何を得ようというのだろう。 「……元々、強い奴だったの。導術も凄かったし………だから、狂ったこいつは脅威よ。誰彼構わず徹底的に、『壊す』んだから」 「…それで、こんな風に…」 「……ええ。」 首に触れ、絞められたことを思い出す。 躊躇のある人間を殺すことなど簡単だ。もし彼が熱を出していなければ、少女の言う通りレッドも殺されていたかもしれない。…否、今死なれては困るらしいから、研究員が直前で止めに来ただろうか。 どちらにせよ、ただではすまなかっただろうことは間違いない。あの時意識を失わせかけた腕の力がそれを証明している。 “こわさないと” 殺すのを嫌がったせいで両親を殺され、また何らかの理由で姉も喪った少年。自分を責めて、壊れて。そして破壊を繰り返す人形となり果てた。 全てこの場所がそうさせたことなのに。 拘束具に触れて、理不尽さに唇を噛み締める。血塗れの過去に縛られ、自由を奪われている彼を、どうにかしたいと思わずにはいられなかった。 しかし解放しようとしたその手を、細い腕が掴む。振り返れば、険しい顔をした少女がこちらを見つめていた。 「……こいつを助けようと考えてるなら、無駄よ。」 「っ、なんでだよ。こんなの、かわいそうじゃないか…!」 「だからって何ができるの?」 「っ、れは…」 反論する言葉が見つからなかった。 例えレッドが拘束具を解いたとしても、心が戻るわけではない。壊れた心のまま、また数日前と同じことを繰り返すのだろう。 思い知って力を失った手を下ろすと、少女の手もゆっくりと離れていく。 「……あの日から、見つける度に話しかけてるけど全然だめ。何も変わらない」 「でも、これからはわからないだろ…!?」 「そう、信じたいけど。聞こえてないんだもの、何も」 「………そんなことない、きっと」 自嘲する彼女に首を振る。 壊れても、病んでしまっても、きっと声は届いている。ただ今は、それを受け入れることも返すこともできないのだ、と。まだ会って間もないけれど、何も知らないけれど。そんな予感がした。 ―――なあ、俺は、お前に何をしてやれるだろう。 「………、気にしてくれてありがと。」 ぽつり、落ちた声に、少女の方に視線を戻す。 先程までの感情を見せない顔ではない、複雑そうで、けれど少しだけ嬉しそうな表情。僅かでも警戒心を解いてくれたのだろうか、こちらも嬉しくなる。 「……グリーンをちゃんと見てくれて、ありがと。今じゃこいつ、皆に化け物扱いされてるから」 「グリーン…?…こいつの、名前?」 「…そうよ。」 人の名前を聞くなんていつ以来だろう。無機質で痛みばかりのこの場所に、遠い日常が少しだけ帰ってきたような気がして、頬が緩んだ。 グリーン、ぐりーん。口の中で繰り返す。こんなに気にしているのに、そういえば名前すら知らなかったのだ。なんだかおかしかった。 「…あはは、今知ったや」 「…ま、ここじゃ名前なんて意味ないしね」 「意味なくなんかないよ。……なあ、名前は?」 少しの沈黙。やがて間をおいて、ブルー、と躊躇いがちな返答が返ってきた。 研究員との機械的な会話ばかりで忘れかけていた。こんな当たり前の、あたたかなこと。 どうかその温もりが、傷ばかり負ってきた二人にも伝わればいい。願いながらレッドは笑う。 「そっか。…じゃ、これからよろしくな、ブルー」 「…アンタ、変な奴ね。」 「よく言われる」 あはは、と苦笑して、ブルーが彼にしていたように頭を撫でる。一瞬強張った体は、しかし逃れることもはねのけることもせずにそれを享受した。 「…誰も呼ばないなら、俺が呼ぶよ。だから、そんな風に言うなよな。」 「………本当、変な奴。何でそんな風にしてられるんだか」 「笑えなくなったら、気持ちも沈んじゃうだろ?」 「…そうね」 初めて、少女が笑った。呆れの混じった、そしてぎこちなさの残る笑み。今日初めて出会ってから一番の、本物の表情だ。 つられて頬をほころばせ、わしわしと頭をかき混ぜてから手を離す。 「だからさ、ブルーももっとそうやって笑えよ。その方がグリーンに届くかもしれないし」 「そうやって…?」 「無理やり笑うんじゃなくって…さ。一人じゃダメなら、俺も一緒にグリーンに話しかけるから」 諭すようにそう言えば、戸惑ったような沈黙。そしてすっと目を逸らされ、その前に殺されなきゃいいけどね、と小さないらえが返ってくる。 心配してくれているのだろう。声には不安と、少しの嬉しさが混じっていた。 「大丈夫、俺も結構強いんだぜ?」 「…はいはい」 安心させようと続けた言葉に、ひらり、ブルーがあしらうように手を振った。そのまま彼女はレッドに背を向け、出口の方にすたすたと歩いていってしまう。 離れていく姿を目で負って、扉に手を掛けたその背中に声を投げかける。 「……もう行くのか?」 「そうよ。あんまり長くいると煩いんだから」 「そっか…っと、俺もさっさと戻らないとな」 手当てを始めようと立ち上がると、ブルーがそっと振り返り。グリーンに一度、案じるような目を向けてから、視線をレッドに寄越した。 深海を思わせる青。今は、悲しみの色は薄い。 「…じゃ。生きてることを祈ってるわ、レッド」 「……ん、ブルーも無事で。」 そして、扉が閉まった。 訪れた静寂に暫く身を委ね、ゆっくりとグリーンを見遣る。 【月】と呼ばれていた少年。魅せられて狂気を孕んだ、悲しい子供。 きっとまだ戻れると、何故だか根拠もなく信じている。例えその身がどれほど血に塗れていようとも。 心が壊れていても生きているのなら、いつか。いつか。 「………、グリーン」 そっと、確かめるように名を呼ぶ。 (ねえ、きこえますか。) |
2009.9.5 |